お隣さんは裏アリ王子
「……探しに行ってくる」


でも、もしかしたら、対応に困ってるかもしれない。


そう思うと私は、ただ待ってるなんてできなかった。


少し歩き回ると、見つけた。


黒い髪を肩の位置で結んで、ラッシュガードを着てる。


「……紗里奈?」


でも、その時の表情がいつもの紗里奈とは全く違った。


こわばってて、今にも泣き出しそう。


「真奈……」


あたりを見回すと、その理由はすぐにわかった。


「あの人、なんで……?」


何度か会ったことあるからわかる。


紗里奈の彼氏さんだ……。


しかも、知らない女の子といる……。


信じられなくてその人を見つめていると、その人も自然に気づいたらしい。


こっちを向いて隣の紗里奈を見つけると、平然とこちらに歩いてきた。
< 109 / 231 >

この作品をシェア

pagetop