お隣さんは裏アリ王子
届けないと……。


そう思って、私は水瀬君のカバンを手に取る。


「それ、届けるの?」


「うん、家近いの私だし、ご飯作りにも行かなきゃだし」


「そっか」


少し心配してくれてるのがわかる。


私は、知りたい。


水瀬君とあの女の子の関係を。


「帰ろっか」


そう言われ、いつもは水瀬君もいるはずの道を3人で歩く。


居心地はいいのに、物足りない……。


いてほしいな、やっぱり。


「じゃあね、真奈」


「バイバーイ」


2人に手を振って、一度家に帰る。


私の手に握られた二つのカバン。


私の方は、いつも制服を置いているところに。


水瀬君のカバンは、ローテーブルの上に置いた。
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