お隣さんは裏アリ王子
これ、いつ届けよう。


今日のご飯作りに行く時でいいかな。


あの人との関係、聞いてもいいかな……。


やめた、考えるの。


もう、今日聞いちゃえ！


そう思ったら居ても立ってもいられなくなって、いつもより早いけどご飯を作りにカバンを持って水瀬君の家へ向かった。


インターホンを鳴らすといつもより少し遅れてガチャっとドアが開いた。


「あの、どちら様でしょうか？」


水瀬君の家から出てきたのは、可愛い女の子だった。


茶色がかったボブヘアー、間違いなく校門にいた子だ。


なんで、ここに？


「……私、隣に住んでる佐倉真奈です。これ、水瀬君の忘れ物なんですけど、水瀬君いますか？」


ご飯を作りに、なんて言えなかった。


「ありがとうございます。圭君に渡しておきますね」


その子は、ふと笑うとドアを閉めた。
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