お隣さんは裏アリ王子
「やだ、よ……」


自分の発した声で目が覚めた。


「真奈……」


聞こえた声とは違って、目を開ければ白い天井。


そして、視界に映り込んでくるカーテン。


保健室だ。


「真奈」


水瀬君の、声がする。


声の方を見れば、そこにいたのは水瀬君本人だった。


「水瀬君……」


さっきの夢を思い出して、どういう表情をしたらいいのかわからなくなる。


「なんで泣いてんの」


そう言いながら、私の目元を拭った。


「……」


なにも言えない私を見て水瀬君は、話し出した。


「昨日、カバンありがと。出たのは、俺の従兄妹なんだ。たまたま、遊びに来ててさ」


従兄妹、その言葉に安心する。


「でも、なんで飯作らずに帰ったんだよ」
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