お隣さんは裏アリ王子
「あ……言えなくて。その子に」


やっと、言葉が出てきた。


彼女だと思った、っていうのもあるけど……。


「じゃあ、今日は作れよ」


その言葉にまた、安心する。


「うん。あと……今何時間目?」


「2時間目。朝、お前が倒れて、俺がここまで運んで、起きるの待ってた」


え、てことは水瀬君に2時間も授業サボらせたってこと?


「ごめんなさい……」


「別に。特に困るような教科じゃねーし」


そっけないけど、水瀬君の優しさが伝わってくる。


「ありがとう」


そう呟くと水瀬君の口角が少し上がった気がした。


「あ、佐倉さん起きたわね」


カーテンがガラッと開いて、入って来たのは養護教諭の先生。


若くて優しい先生って噂。
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