お隣さんは裏アリ王子
「あ、あの……」


校門を通り過ぎようとした時、その女の子は私たちに向かって話しかけた。


「ちょっとお話いいですか?」


彼女の目線は、私の方を向いていた。


「私……ですか?」


「はい」


その子の瞳には、何かを決心したような強さがあった。


「じゃあ、私抜けるね。また明日!」


「じゃあねー!」


紗里奈は何も言わずに手を振ってくれて、如月君は笑顔でそう言った。


「ああ……」


水瀬君は、どこか心配そうな、警戒するような表情で私に言った。


「じゃあ、行きましょうか」


私は、そう言ったその女の子の後ろをついていく。


なんだろう、カバン届けに行った時も思ったけどなんだか変な感じだなあ。


作ってる感じ。


でも、水瀬君みたいに全く違うんじゃなくて、少しだけ。
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