お隣さんは裏アリ王子
「お帰りなさいませ、お嬢様」


顔を上げると、動けなくなった。


「こんにちは、真奈さん」


「七海さん……。ご案内します」


そう、入り口に立っていたのは七海さんだった。


「ご注文がお決まりになりましたら、呼んでください」


七海さんを席に案内してそう言うと、私はその場を離れた。


「ねえ、あの子って」


紗里奈には、全部話してるからどこか心配そうに私に言ってくれる。


「うん。多分、水瀬君に会いに来たんだと思う」


「いいの?」


「店員がお客さんの接客をしないわけにはいかないもん」


正直、不安でしょうがない。


水瀬君と七海さんを目で追ってしまう。


「あ、お客さんだ」


振り払いたくて、入り口の方を見るとちょうどお客さんが入って来た。
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