お隣さんは裏アリ王子
「お帰りなさいませ、ご主人様」


顔を見ずに、私は性別を判断してそう言った。


だから、驚いた。


「真奈ちゃん」


聴き慣れた声がしたから。


「湊さん」


デジャブかな。


顔を上げたら知り合いとか。


「ご案内いたします」


微笑むと私は湊さんを案内した。


ちらっと、水瀬君と七海さんが話してるのが見えた。


「真奈ちゃん、似合ってる。可愛いよ」


椅子に座ると、湊さんが言う。


「ありがとうございます」


水瀬君みたいなドキドキはないけれど、やっぱり嬉しくて、思わず笑顔になる。


「湊さん、どうしてここに?」


「君の過保護な兄貴が様子を見て来いだってさ。自分が行くと嫌われるからって俺を使いやがって」
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