お隣さんは裏アリ王子
多分、七海はまだあの頃を引きずってる。


また、取り戻そうとしてる。


真奈に会ってなかったら、俺だって取り戻そうとしてたはずだ。


「圭君、いっぱい買ったし、食べよう?」


「ああ」


もう2時。


文化祭は3時まで。


食べてたら、文化祭は終わり頃だろうな。


そう思いながら、屋上で七海と買った焼きそばを食べる。


なかなか、うまい。


「ここ、やっぱりいいねー」


そんな声にビクリと身体が跳ねる。


「水瀬君……」


聞き間違えるはずのない、愛おしい、その人の声。


「真奈」


「ごめん、邪魔したね」


後ろから斗真たちがやってくるのがドア越しに見えた。


「待て、真奈!」
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