お隣さんは裏アリ王子
追いかけようと一歩踏み出すと、ぎゅうっと腕を抱き締められる。


「行っちゃ、やだ。ねえ、もう一回、一緒に暮らそう?もう一回、やり直そうよ……」


2度目の誘いにも、同じ答えしか返せない。


「俺は、真奈が好きだ。七海とは、やり直す気はねーし、一緒にも暮さねぇ」


「そっか……」


悲しそうに言う七海は、あの時の顔に似ていた。


「ごめんな、七海」


最後に七海の頭を撫でて、俺は歩き出した。




                 圭side end
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