お隣さんは裏アリ王子
ティッシュを渡され、押さえつけるように涙をふく。


「もう、大丈夫か?」


優しく、しないで。


彼女いるのに期待させるようなこと、しないでよ。


「俺、なんかしたか?」


まるで捨てられた子犬のような不安げな瞳。


「してない」


「じゃあ、なんで来ねーんだよ。2週間も。しかも避けられるし、連絡は無視だし、電話もでねーし」


怒られるに近い責められ方をして、また涙が出そうになる。


「だって、彼氏が2人きりで他の女を家にあげてたら、嫌でしょ?」


「は?彼氏?誰が?誰の?」


とぼけないでよ。


「水瀬君が、七海さんの……」


「お前、何言ってんだよ」


すごく、低い声。


どこか怒りすら感じる。
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