お隣さんは裏アリ王子
1月の寒さは、制服で足を出してる私にはつらい。


「あ、寒いよね。これ着てて」


そんな私に気づいたのか湊さんが着ていたコートをかけてくれる。


「え、でも……」


「こんな時くらい、甘えてよ」


いつもより強引な湊さんに何も言えなくなってしまう。


「真奈ちゃん、大和が心配してたよ。全然連絡もないし、家にも来ないって」


特に困ったこともないから行ってないだけなんだけど、今度暇だったら行こうかな。


「行けたら行きます」


「行かないやつじゃん」


たわいない、緩い会話。


「真奈」


そんな会話に、少し不機嫌そうな声が割り込んだ。


「水瀬君……?」


明らかに機嫌が悪い。


「あ、彼氏きた?じゃあね、真奈ちゃん」
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