お隣さんは裏アリ王子
「私、帰るね。もらったパン、置いていくから食べて」


そう言い残して、私は制服を整えるとパンをカバンから出して帰った。


家の玄関で私は泣き崩れた。


水瀬君、ごめん。


ちゃんと説明できなかった申し訳なさと、これからどうなるかわからない不安。


入り混じったそれらを全て涙にして流す。


次、会った時にちゃんと告白、断らなきゃ。


あんなことされても、水瀬君が好きなのは変わらないから。


次の日、律儀に結局ご飯を作らに行く私はすごいと思う。


でも、インターホンを鳴らしても返事がない。


学校でも話してないし、不安。


いつまで経っても出てこないから、初めて合鍵を使って中は入る。


いつもは綺麗な水瀬君の部屋が汚かった。
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