お隣さんは裏アリ王子
数分経つと、卵雑炊が運ばれてきた。


「いただきます」


初めて食べる水瀬君の手料理は、優しい味がした。


「ねえ、料理、できるんだね」


私、ご飯作りに行く意味なくなっちゃう。


「料理らしい料理は、これしかできねーよ」


「なんで、雑炊なの?」


普通、チャーハンとかじゃないのかな。


「七海が昔から熱出しやすかったから、よく作って食べさせててな。それで、これだけ」


聞かなきゃ、よかったな。


悪気はないんだろうけど、少しムッとする。


「あれ、どした?」


うう、全面的に私が悪い……。


「七海さん……いいなって」


「は?」


「だから、唯一作れるご飯が七海さんのためのっていいなって……」
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