お隣さんは裏アリ王子
「なんでズボン履いてねーんだよ」


「だって、大きくて」


さっきから明らかに不機嫌な彼にどんどん私の心が削られていく。


「大体、さっきまで着てた服着ればよかっただろ?」


「あっ……」


その手があった……。


「ふっ、お前バカだな」


あ、笑った。


意地悪な笑みじゃなくて、作った笑顔でもなくてただ純粋に笑ってる。


「ねえ、水瀬君って夜ご飯、どうしてるの?」


思わず、そう聞いてしまった。


「あー、カップラーメンとか惣菜ばっか。たまに母さんが来て材料入れてくけど、使ったことねーな」


あの野菜とかは、そういうことだったんだ。


「それ、身体に悪いよ?」


私の悪い癖。


お節介が出てしまった。
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