お隣さんは裏アリ王子
すぐに制服から着替えると、私は接客に回る。


2人はパン作り、2人は接客をすることになってるから、すごく忙しい。


基本、お客さんの顔は一回では覚えられないんだけど、たまにすぐに覚えられる人がいる。


「日替わりサンドウィッチになります」


そう言ってテーブルにサンドウィッチを置くと、お客さんの手が私の手に重ねられた。


思わずお客さんの顔を見る。


20代くらいの小太りの男の人だった。


目が合うとその男は、ニヤリと笑って握る力を強める。


「離してください」


出来るだけ冷淡に言った。


「しょうがないなあ」


ぞくってした。


やばい奴って、感じ取った。


「ごゆっくりどうぞ」


そう言うと、出来るだけ早足で厨房の方は戻った。
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