お隣さんは裏アリ王子
通った鼻筋、綺麗な瞳、そしてサラサラの黒髪。


「あの、佐倉真奈です。一人暮らしです。これからよろしくお願いします」


頭を下げてお菓子を差し出した。


「俺は、水瀬圭です。俺も一人暮らし。こっちこそ、よろしく」


そう言って、その人は微笑んだ。


イケメンに群がるという感覚のない私でも顔が赤くなりそうだった。


でも、なんだか違和感がある。


私も笑い返して、自分の部屋に戻った。


あの人、どこかで見たことあるような……。


水瀬圭って名前もどこかで。


はじめてのお隣さんだから、謎の期待をしちゃってるのかそんなことを考えてしまう。


やめた、夜ご飯作ろ。


私は、引っ越し祝いだ、と思い小さなホットプレートでたこ焼きをすることにした。
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