毒舌魔王の可愛がり方。-六花の恋・外伝-【完】
「だって尚が怪我とか……健康優良児の尚が怪我とか……」
軽く顔をあげた美結の目には涙が浮かんでいる。
はいはい。手のかかる妹よ。
「学校で尚がいないとなんか周りに距離取られてる気がして……」
そりゃお前のせいだよバカ天然。
俺、想とクラスメイトの通訳みたいな感じもあるからな……。
「退院決まったらすぐに連絡すっから、安心して待ってろって」
こらきれない苦笑と一緒に言うと、想も美結もほっとしたようにはにかんだ。
……病室を出るとき、美結は刹那、憂いの表情を見せた。
……想が勝手にやった件、そのものとしては終わっていても、美結の中では蹴りがつけられていないのだろう。
……それはこれから次第だ。
俺と美結が、想をどう出来るか。