毒舌魔王の可愛がり方。-六花の恋・外伝-【完】
俺が答えると、男性はふわっと笑った。
「急に申し訳ない。新垣玲奈の叔父の新垣準正(じゅんせい)といいます。今、お話する時間はあるかな?」
「はい。今日はもうリハビリも診察も終わってますから、いくらでも」
新垣の叔父さんは、ベッドの傍に置いてあったパイプ椅子に座る。
垂れ目で柔和な顔立ち。背はそれほど高くはなく細身の体型、髪はロマンスグレーが混じっている。
背筋はしっかりしているし、足取りも普通だから、俺みたいな理由での入院ではなさそうだ。
「玲奈がこちらへお邪魔しているそうで、迷惑していないかな?」
新垣の叔父さんは目元をゆるめて軽く首を傾げた。
「いいえ。話し相手になってもらっています。同い年で、部活も同じですから」
俺も悪印象は与えたくなかったから、出来るだけ微笑みを保った。
「藍田くんもバスケ部なんだね」
「はい。僕の幼馴染が女バスで、新垣さんとも面識あったらしくて、その縁で僕を知っていてくれたそうです」
「幼馴染って……女の子?」
新垣の叔父さんの声がくもった。
あ、やべ。慌てたのが面に出ないように取り繕う。