毒舌魔王の可愛がり方。-六花の恋・外伝-【完】

目元に涙を浮かべる美結に謝ると、ぶんぶん首を横に振られた。

「違う! 尚はなんも悪くない! 尚が謝るのはおかしい!」

「おかしいかもしれないけど、お前らに泣かれんのはきついんだよ」

「じゃあ泣かない! 私も戦う」

「戦うって――」

「尚がこれからぶつかること全部と戦う。走れなくたって私と想には尚が必要だから、勝手にいなくなられたりしたら私たち死んじゃうから、だから、尚がこの先走れないことで苦しまないように――戦う」

「………」

ははっ、美結お前、想のこと何も言えないくらい重いこと言ってんぞ……。

でも……

「尚。走れなくて何で謝るの?」

美結の言葉にぐっときてうつむきかけていた顔が、自然とあがる。

想が、心底不思議そうな顔で俺を見ていた。

「美結の言うことに俺も賛成。だから、この先この話題で尚が謝ったら、俺は怒るから」

「………」

怒んのかよ……。想がキレると厄介なんだよ……。

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