毒舌魔王の可愛がり方。-六花の恋・外伝-【完】
隣町は、スポーツの大会では俺らの中学と同じ区域だから、これから先も関わることはあるだろう。
女バスなら美結とも関わりあるかもしれない。
俺の所為で美結に害があったら想に合わせる顔がないから、無下に追い返すことも出来ないと思ってパイプ椅子を勧めた。
新垣は、見るからに顔を明るくさせて椅子についた。
「リハビリの順番待ちしてるから、あまり話す時間ないかもしれないけど」
「藍田くんの顔を見られただけで十分です。こんな押しかけるみたいな真似して、ごめんなさい」
ふむ? 常識はある方のようだな。
そんな奴がなんで知り合いでもない俺のところに来たんだろうか。
本当に親戚のついで?
「足、どうですか……?」
「うん、一応手術は成功。あとはリハビリ次第」
と、俺は誤魔化した言い方をした。
もう二度と走れない、コートには戻れない、なんて……言う気にはならなかった。