毒舌魔王の可愛がり方。-六花の恋・外伝-【完】
「しかも部活でもエースだし、知らない方が難しいくらいだよ」
朗らかに言う新垣。うーん、あいつらのオマケで俺まで目立っていたか……。
いやだなあ。
想の弟の里宇(りう)はよく俺に、「尚くんは想の所為で損してる」って言うけど、俺もそう思っている。
でも、それでいいとも思っている。なんとなく。
で、知り合いですらない俺を急に訪ねて来た新垣から、今のところ嫌な感じはしないけど……。
――扉がノックされた。
「藍田くん、順番そろそろだから行こうか――あ、お見舞い?」
リハビリ専門の女性医員が、俺を迎えに来た。
そして新垣を見て驚いた顔をしたあと、にやりとした。
……やな予感。
「ええ、友達です。バスケ仲間なんです」
面倒な誤解は御免なので、先手を打っておいた。
新垣は慌てて立ち上がると、「お邪魔しましたっ」と椅子を片付けだした。
「またねー」
「し、失礼しますっ」
手を振ったのは俺ではない。先生だ。
新垣がドアを閉めたとたん、先生はくるりと俺の方を見てにやりとした。