毒舌魔王の可愛がり方。-六花の恋・外伝-【完】
「いいなあ、藍田くん。可愛い子に大人気~」
「なんですか、それ。早く行きましょう」
先生を無視して、松葉杖を取る。
「藍田くんの――ほら、毎日来る子も可愛いじゃない。どっちが彼女なの~?」
毎日って、……美結しかいないよな。
「どっちも違います。好きとかよくわかんないんで」
まったく。俺まだ中二だぞ? そりゃあ、周りは誰が可愛いだの告白されただのしただの……いるけど、俺は正直そういうの関わりたくない。
と言うか、せめてあいつらが落ち着いてくれるまではそんな暇ない。マジで忙しい。
「藍田くんって硬派なんだねー」
……は? 硬派?
「軟派ではないつもりですけど」
「……うん」
急に、先生の俺を見る目が物悲しいものになった気がした。どうでもいいけど。
「早く退院できるといいねえ。そろそろ受験も関わってくるでしょ?」
先生は何気ない感じで話を振って来た。