独占欲全開なモテ男子と、幼なじみ以上になっちゃいました。



そんな様子を天木くんは、やれやれと呆れながら幸花ちゃんはにこにこ笑って見てた。


夏の夜だから、ちょっとだけ蒸し暑い。

花火が上がるまであと少し。


花火大会らしくってうちわをもらってパタパタ扇いでると。


「ひよいい匂いするね」

「んえ?そうかな?」


「優しくて甘い匂いする」


自分じゃ自分の匂いわかんない。

それを言うなら、瑞月くんだっていつもの柑橘系の香水の匂いがふわっとするから。



「み、瑞月くんも香水のいい匂いするよ」

「そう?」


「うん。この匂いすごく好き……っていうか、瑞月くんの匂いだから好き……かな」

「……」


あれ、急に黙り込んじゃった。

わたし何か変なこと言ったかな。



「……はぁ、無理。もう我慢しない」

「へ……っ」


幸花ちゃんたちがいるほうを向かないように、バレないように。


うちわでさりげなく隠して。


「……そんな可愛いこと言うのダメ」


軽く唇が触れた。

< 220 / 394 >

この作品をシェア

pagetop