独占欲全開なモテ男子と、幼なじみ以上になっちゃいました。
そんな様子を天木くんは、やれやれと呆れながら幸花ちゃんはにこにこ笑って見てた。
夏の夜だから、ちょっとだけ蒸し暑い。
花火が上がるまであと少し。
花火大会らしくってうちわをもらってパタパタ扇いでると。
「ひよいい匂いするね」
「んえ?そうかな?」
「優しくて甘い匂いする」
自分じゃ自分の匂いわかんない。
それを言うなら、瑞月くんだっていつもの柑橘系の香水の匂いがふわっとするから。
「み、瑞月くんも香水のいい匂いするよ」
「そう?」
「うん。この匂いすごく好き……っていうか、瑞月くんの匂いだから好き……かな」
「……」
あれ、急に黙り込んじゃった。
わたし何か変なこと言ったかな。
「……はぁ、無理。もう我慢しない」
「へ……っ」
幸花ちゃんたちがいるほうを向かないように、バレないように。
うちわでさりげなく隠して。
「……そんな可愛いこと言うのダメ」
軽く唇が触れた。