独占欲全開なモテ男子と、幼なじみ以上になっちゃいました。



好きって伝えた気持ちをクシャッと消されてしまったような。


やっぱり瑞月くんの考えることは、わたしなんかじゃ到底わかりっこない。


気持ちがしぼんで、同時にモヤモヤがどんどん膨らんでいく。



今さらすぎるけど、こんな気持ちの入ってないキスなんかされても虚しいだけ……。


ふっと我に返って、目の前の瑞月くんの身体をものすごい力で押し返した。



その反動で身体のバランスを崩したのは、瑞月くんじゃなくてわたしのほう。



グラッと視界が揺れて身体が後ろに倒れてく。

足場が悪いせいで、体勢を立て直すことはほぼ不可能で。


おまけにバランスを崩す寸前に片方の足首をグキッとやってしまったみたいで。


このまま岩の上に身体を打ちつけると思って、ギュッと目をつぶると。


間一髪。


手をつかまれて、ものすごい力で引かれて。


「陽依……っ」


瑞月くんの焦った声が耳に届いた。

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