強引なキミに振り回された結果、恋に落ちてしまいました。
神風くんはわたしの横に立って、ポロンと音を鳴らす。
ドードーソーソーラーラーソー♪
曲になっているその音は、みんなが知っているきらきら星。
「もうこれくらいしか弾けないけど」
右手でメロディーを弾き続ける神風くん。
そういえばピアノを習っていた頃は連弾もやったなと楽しかった記憶が掘り起こされる。
思い出すと、ウズウズが止まらない。
スっと低い鍵盤に手を置いて、神風くんが奏でるメロディーに伴奏をつけていく。
神風くんが今何を思っているのかはわからないけれど、右手は止まることなく音楽を奏で続けている。
それに合わせてわたしも伴奏を続ける。
気がつけば予鈴が鳴り、お昼休みは終わってしまっていた。
「……楽しかった」
教室を出る前に不意に漏れてしまったその声は、紛れもないわたしの心の声だった。