強引なキミに振り回された結果、恋に落ちてしまいました。
「おい、神風! お前追試なんだからちゃんと解説聞いてなきゃいけないだろう。 全く神風、お前って奴は……」
「すみませーん」
軽い謝罪に先生は大きなため息をついて頭を抱えている。
神風くんが追試だという情報を聞いて、クラスメイトは「さすがサボり魔の神風だ」といじり笑いが飛び交っていた。
そんな声にも、あははと笑い飛ばしている神風くん。
それがただの表向きの顔だとしても、そんなう風に軽くかわせてしまうところはすごいと思う。
「そうだ、七瀬!」
頭を抱えていたはずの先生は、いいこと思いついたとキラキラした目でわたしを見ていた。
なんだか嫌な予感がする。
「……はい」
どうかそんな予感がハズレますようにと願いながら小さく返事をする。
「満点のお前になら安心して任せられる。 今日から1週間追試までの間、神風の勉強を見てやってくれ」
「……」
そんなことだろうと、心のどこかで思っていた。
でも本当に頼まれてしまうとは……
ため息もつきたくなるわたしとは裏腹に、神風くんは「よろしく」とわたしに笑顔を向けていた。