強引なキミに振り回された結果、恋に落ちてしまいました。



「ねぇ、神風くん。 やる気ある?」



ホームルーム後、いつものように帰ろうとしていた神風くんを無理矢理引き止めて机に戻ってもらったのはいいのだけれど……


机の上にテストの問題用紙とノートを広げただけで、そのページはいまだに真っ白だ。



「追試とか面倒」



口を開けば文句ばかり。


家やバイト、部活に向かうクラスメイトがまだ教室にいた頃は、「頑張れよー」なんて声に「おう」なんて調子よく答えていたくせに。


今ばかりは、クラスメイトみんなに神風くんを見張っていてほしいと思う。



「わからないところは教えてあげるから、とりあえず解いて欲しいんだけど……」



先生に神風くんの勉強を見てほしいと言われた以上、今度の追試に合格してもらわないとわたしが先生に何を言われるかわからない。


結果はどうであれ、まずはやる気を見せてほしい。



「頭使うと疲れるんだよね」



ほら、また文句しか言わない。


文句を言いたいのはわたしの方だというのに。



「追試に合格しないと成績に響いちゃうよ?」



神風くんは転校生だから、この高校で受けるテストは今回が初めて。


これまでの成績がどのくらいだったのかはわからないけれど、今回のテストが大切なのは確実だと思う。


だから、その重要さを神風くんに伝えたいのに、残念ながらそれを理解しようとはしてくれなさそうだ。





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