強引なキミに振り回された結果、恋に落ちてしまいました。
「また明日っ」
そんな神風くんの背中に向けて、言葉を返す。
わたしの声を聞いてから、神風くんは手をおろして、そのまま制服のポケットに突っ込んでいた。
「あ、」
「……?」
神風くんを見送って、家に入ろうかと体の向きを変えようとした時、何かを思い出したかのようにこちらへ戻ってくる神風くん。
そうかと思えば、止まることなくどんどんと神風くんは近づいてきて、わたしの目の前でその足を止めた。
「……っ」
距離が近すぎて、どこを見たらいいかわからない。
グッと息を飲む。
「約束、忘れないでよ」
神風くんの顔がわたしの耳に近づいて、呟かれたその言葉。
吐かれた息が耳をかすって、くすぐったい。
「ふっ、やっぱり澪って面白いよね。 からかいがいがある」
「えっ?」
すぐにわたしから離れた神風くんは、また笑って背中を向ける。
今度こそ、また明日。
わたしは、神風くんの背中が地平線の向こうに見えなくなっても、顔を真っ赤にしたままで、すぐに動けずにいた。