強引なキミに振り回された結果、恋に落ちてしまいました。



「神風くん!どこに行ってたの?」



神風くんが教室に戻ってきたのは帰りのホームルームの前。


それに気づいた女の子が神風くんに聞いていた。



「気づいたら寝ちゃってた!ご飯食べたら眠くなっちゃうよねー」



「お前赤ちゃんかよ!」なんて男の子たちからつっこまれ、「わかるー!」なんて同感も得て、教室中は笑いに包まれていた。


元からわたしには合わないくらい明るいクラスだったけど、神風くんが来てさらに明るくなったかもしれない。



「……七瀬!おーい」


「へっ……あ、すみません。起立、礼───」



いつの間に先生が来てホームルームが終わっていたんだろう。


ボケっとしている間に全てが終わっていた。


ちょっと考え込みすぎた。



「澪って真面目そうなのに聞いてないこともあるんだね」



号令が終わるなりそう話しかけてきた神風くん。


バカにされてるのかなんなのか。


わからないけど、聞こえてないフリをした。



「え、もう帰るの?これから校内案内してよ」


「……え?」



神風くんに帰るのを止められるのも予想外だけど、校内案内を頼まれるのも予想外。



「学校の中くらい他の子に頼めば……」


「澪は学級委員長でしょ?よろしくー」


「……はぁ」



これはため息も出るよ。


ほら、また女の子たちが鋭い目でわたしを見てる。


わたしは神風くんと仲良くもないし、勝手に近づいてくるだけなのに。




< 12 / 178 >

この作品をシェア

pagetop