強引なキミに振り回された結果、恋に落ちてしまいました。
「神風くん!どこに行ってたの?」
神風くんが教室に戻ってきたのは帰りのホームルームの前。
それに気づいた女の子が神風くんに聞いていた。
「気づいたら寝ちゃってた!ご飯食べたら眠くなっちゃうよねー」
「お前赤ちゃんかよ!」なんて男の子たちからつっこまれ、「わかるー!」なんて同感も得て、教室中は笑いに包まれていた。
元からわたしには合わないくらい明るいクラスだったけど、神風くんが来てさらに明るくなったかもしれない。
「……七瀬!おーい」
「へっ……あ、すみません。起立、礼───」
いつの間に先生が来てホームルームが終わっていたんだろう。
ボケっとしている間に全てが終わっていた。
ちょっと考え込みすぎた。
「澪って真面目そうなのに聞いてないこともあるんだね」
号令が終わるなりそう話しかけてきた神風くん。
バカにされてるのかなんなのか。
わからないけど、聞こえてないフリをした。
「え、もう帰るの?これから校内案内してよ」
「……え?」
神風くんに帰るのを止められるのも予想外だけど、校内案内を頼まれるのも予想外。
「学校の中くらい他の子に頼めば……」
「澪は学級委員長でしょ?よろしくー」
「……はぁ」
これはため息も出るよ。
ほら、また女の子たちが鋭い目でわたしを見てる。
わたしは神風くんと仲良くもないし、勝手に近づいてくるだけなのに。