強引なキミに振り回された結果、恋に落ちてしまいました。
生徒は基本的に立ち入り禁止。
それがわかっているから人もいない。
屋上へと続く階段を上がっていくと、重そうなドアがある。
ここを開けば屋上に出るわけだけど、そもそも鍵が開いているかどうか。
「……開いた」
そうかとは思ってはいたけれど。
本当に開いているなんて。
古くてあまり使われていないドアは、キィーッと音を立てて開く。
「ん?誰?」
そこにはコンクリートの床に寝そべりながら、顔だけこちらに向ける神風くんがいた。
「あ、澪か。どーしたの?」
神風くんは特に驚いた様子もなく、わたしを見ていた。
「えっと、あの……宿題を届けに」
ひらひらと風になびくプリントを目の前に差し出して言う。
「机の上に置いといてくれてよかったのに」
神風くんに言われて、あぁ確かにと納得する。
こんなに探し回らなくてもよかった。
早く神風くんに渡さなきゃとばかり思っていて、そんなこと考えていなかった。
「明日の朝に提出だからよろしくね」
用件は済んだ。
さっさと帰ろうと神風くんに背中を向ける。
それなのに、
「ねぇ、澪っていつも1人だよね。友達いないの?」
そんな失礼なことを言われて止められた。