強引なキミに振り回された結果、恋に落ちてしまいました。
「神風くん……」
来てみたはいいけれど、いつものように神風くんの席の周りには人だかりができている。
その後ろで神風くんを呼んでも聞こえるはずがない。
どうにか視界に入れるよう隙間を探すけれど、そんなものどこにもない。
そうこうしている間に、まだ提出していなかった2人も終わったようでプリントを受け取った。
あとは本当に神風くんの分だけ。
休み時間もあと5分くらいしかないのに……
「あれ、どうしたの澪チャン?」
「……」
昨日と同じ呼び方。
屋上での出来事を思い出して、ムッとする。
そんなことよりどうしよう。
神風くんがわたしの名前を呼んだせいで、女の子たちがわたしを見る。
……早くここから立ち去りたい。
「言ってくれないとわからないよ?」
注目されている中、言葉を発するのはわたしが一番苦手とするもの。
「あの、昨日のプリント」
最低限のことを伝えるのがやっと。
でも、それで宿題のプリントを回収しに来たことはわかってくれたみたいだった。
それはよかったのだけど、
「あぁ、プリント家に忘れてきちゃったんだよねー。だから俺の分は気にしなくていいよ」
そう笑いながら言った。
家に忘れたと言う神風くんに、女の子たちは「しっかりしなよー!」と笑っている。
そんな中、わたしだけが神風くんに対してフツフツと怒りが込み上げる。