強引なキミに振り回された結果、恋に落ちてしまいました。
それならそうと早く言ってよ。
しかも「宿題があったのも忘れてた」なんて言い出して……
そんなことなら昨日必死に神風くんを探さないで、すぐに帰ってしまえばよかった。
神風くんのバカ。
わたしの時間を返して欲しい。
こんなモヤモヤしている時間も勿体ない。
早く先生に宿題届けてしまわないと。
「……失礼します」
職員室に入るのはいつになっても緊張する。
もう何度も来ているはずなのに。
「おぉ、七瀬か!わざわざありがとな」
「いえ」
おかげさまで、昨日から今日の朝まで大変だったんですからね。
……なんてことは口には出さないけれど、本当に大変だった。
「えっと、神風くんなんですけど家に宿題忘れたらしくて1枚足りないです」
わたしがプリントを渡してないなんて思われないように一言追加しておく。
「まーたアイツか。まぁ仕方ないな、俺から言っとくよ」
まだ転校してきてから1週間程しか経っていないというのに、神風くんのサボり癖は先生たちの中でも有名らしい。
会話が聞こえていたのであろう近くの席の先生たちも苦笑いを浮かべていた。
仕事を終えたわたしは、ペコリと頭を下げて職員室を出る。
教室に戻った時には授業開始1分前。
ギリギリ間に合ってよかった。
自分の席に戻って、やっとホッと一息ついた。