強引なキミに振り回された結果、恋に落ちてしまいました。
「澪、聞いてる?」
「え、なんだっけ?」
神風くんは何かわたしに話していたらしい。
周りの目が気になって耳に入ってこなかった。
「教科書見せてよ」
「教科書?」
「うん、今日なんにも持ってきてないから」
「……?」
さすがに転校生といえども始業式が始まる前に教科書くらいは届いてるよね?
制服だってうちのをちゃんと着てるし。
「よろしくねー!」
「……っ!?」
まだいいって言ってないのに。
元から聞くつもりもなかったのか、当たり前かのように机をくっつけてくる。
もちろんクラスの女の子たちはこの様子を見ていて、羨ましそうに見ていたり、「なんであの子が?」なんて陰口を小声でしていたり。
せっかく平和な学校生活を送っていたというのに。
これじゃ、完全にわたしは女の子たちの標的だよ。
「わたし、見せるなんて一言も……」
「え?学級委員長として俺のこと助けてくれるんでしょ?先生から頼まれてなかった?」
この人、ずるい。
確かにわたしは先生から神風くんをよろしくと頼まれている。
だから、見捨てる訳にもいかなくて……