強引なキミに振り回された結果、恋に落ちてしまいました。
前髪にクシを通されて、ハサミが入れられる。
シャキッと音が聞こえるのと同時にパラパラと落ちていくわたしの前髪。
「……眩しい」
1枚の壁のようになっていた前髪が無くなったことで、真っ直ぐに入ってくる光。
「そうなの、外はこんなに眩しいの。 キラキラして見えるでしょ?」
キラキラしてる澪ちゃんはもーっと可愛いよ、なんて照れくさいことを舞さんは言ってくれる。
前髪を切ってもらっただけだけど、一歩を踏み出せたような気持ちになった。
「最後にゆるく巻いてもいいかな?」
「はいっ、お願いします!」
舞さんに魔法をかけられているような気がして、自分が自分じゃないみたい。
ヘアアイロンを使って、器用に巻かれていくわたしの髪。
サイドの髪を巻かれて、ふわっとした髪が視界に映る。
舞さんは全体のバランスを見て、最後に「よしっ」と呟いた。
「できたよ、澪ちゃんっ! ほら、すっごく可愛いっ!」
わたしの前に回って来て、じっと見てはテンション高めにキラキラとした目で見つめてくる。
一体、わたしはどんな姿になったんだろう。