強引なキミに振り回された結果、恋に落ちてしまいました。
「ここ、わたしの家」
沈黙が解かれたのは、わたしの家に着いてから。
「そう。じゃあまた明日」
明日は学校祭当日。
あまり乗り気にはやっぱりなれないけれど……
「うん、また明日」
人と一緒に帰ったことなんてなくて、どのタイミングで別れたらいいかわからない。
またしばらく静かに向き合う時間が続く。
「じ、じゃあ……っ」
いてもたってもいられなくて、声を絞り出す。
「あぁ」
そう言って背を向けた神風くんを確認してから、わたしも背を向ける。
「……俺は、今の澪の方がいいと思うよ」
「……えっ?」
「いや、別に。おやすみ。風邪ひくから早く家ん中入れよ」
お互いに背を向けていたから、はっきりとは聞こえなかったけれど……
確かに神風くんは今のわたしの方がいいって、褒めてくれたんだよね?
「んふふ」
思わず笑みが漏れてしまう。
こんなこと、今まで一度もなかったのに。
まだわたしには舞さんのかけてくれた魔法が残っているのかもしれない。