強引なキミに振り回された結果、恋に落ちてしまいました。
「神風くん、ちょっと澪のこと借りるねー」
「へっ?」
「ほら、いくよ澪」
神風くんはどうぞどうぞといつも通りの王子様スマイルでわたしのことを見送っていた。
オンオフの切り替えが早すぎる。
「ありがとう、玲奈ちゃん」
「何が?」
「神風くんから切り離してくれたから」
神風くんにしっかりと掴まれた腕は離せそうになくてどうしようもできなかったから、玲奈ちゃんが来てくれて助かった。
「あー、そういうこと!だっていかにも嫌そうな顔してたんだもん」
澪って面白すぎ、と玲奈ちゃんに笑われた。
玲奈ちゃんに手を引かれながら隣を歩く。
友達と登校するなんて、いつぶりのことだろう。
「ねぇ、なんでそんな突然可愛くなったの?」
たった一日で魔法にかけられたかのように変わったわたしの理由を知りたいらしい。
「えっと、実はね──」
わたしは、昨日神風くんに無理矢理学校から連れ出されたことから、神風くんのお姉さんのこと、神風くんの指示により舞さんの手によってこうなったこと……
順序を追って玲奈ちゃんに伝えた。
わたしが話している間、玲奈ちゃんは興味津々で目を輝かせながら聞いていた。
そして、最後に一言。
「神風くんがねぇ」
と意味深に呟いた。