強引なキミに振り回された結果、恋に落ちてしまいました。
「それで、なんでそんなにビクビクしてるの?」
玲奈ちゃんは不思議そうに問いかけてくる。
隠しているつもりだったけれど、どうやらバレているらしい。
「この髪型とかメイクとか慣れなくて……変だって思われたら」
髪の毛は昨日帰ってきたわたしを見て驚いていたお母さんが、せっかく似合ってて可愛いんだから今日も巻いていきなさいと朝からセットしてくれた。
メイクは舞さんが今使っていない化粧品を貸してくれて、テレビ電話を繋ぎながら何とか完成させたもの。
舞さんからは電話越しにお墨付きをもらったけれど、やっぱり不安は取れない。
ただでさえ地味な人としか認識されていないわたしが、いきなりこんな髪型とメイクで来たらどう思われて、どんな陰口をまた言われるのだろうかと恐ろしくてたまらない。
わたしはいつも通り隅で大人しくしているのがお似合いなのに……
周りに背中を押されてこうなってしまったわけだけど、すごく自分に自信がない。
「大丈夫、澪は可愛い!わたしが保証してあげる!」
胸をポンと叩いて、ドヤ顔の玲奈ちゃん。
玲奈ちゃんといるとなんでこんなに心強いんだろう。
「……うん、頑張る」
玲奈ちゃんと話しながら歩いていると、気がつけばわたしたちは色とりどりに飾られた校門を潜り、学校の中にいた。