強引なキミに振り回された結果、恋に落ちてしまいました。
***
おかしい、おかしい、おかしい。
こんなはずじゃなかったのに。
隣にはタキシード姿の光り輝く神風くん。
その隣に並ぶのは、何故か純白のドレスに身を包んでいるわたし。
この衣装は全て舞さんが持ってきていたもの。
美容師の舞さんは衣装調達もお手の物で、どうやら既に準備していたらしい。
しかもサイズもピッタリだし……
崩れかけていたメイクも見違えるほど綺麗にしてもらった。
神風くんに巻き込まれて乱れていた髪の毛もアップのふわふわお団子ヘアに変わっていて、お花がモチーフになった髪飾りで綺麗に飾られている。
まるで結婚式。
そんな姿で、今体育館のステージ裏に立っている。
「はい! 最後に登場していただくカップルはこちらの2人───神風&七瀬カップル!」
そう名前を呼ばれ、生徒会役員であろう人に背中を押されながらついにライトが眩しいステージ上に上がってしまった。
体育館はざわついている。
神風くんには彼女が居たんだと。
それが、あの地味なわたしだと。
違うんです、わたしと神風くんはカップルなんかじゃ……
でも、ここに立ってしまっている以上、今は何も言えない。
違うと言ってしまえば失格となり、優勝の可能性はただでさえ低いと思ってるのに0になってしまう。