強引なキミに振り回された結果、恋に落ちてしまいました。


まさか、嘘だとしてもカップルとして神風くんと隣に並ぶ日が来るなんて思ってもいなかった。


人気者の神風くんと地味なわたし。


釣り合わないわたしたち。


今も、みんなの視線が怖い。


楽しんでいるのはたぶん……ステージ裏で笑顔の舞さんだけだと思う。



「さぁ、全ての出場カップルが揃ったところで審査方法を発表します!」



ダララララララっと太鼓の音が鳴り響き、ダンという一音と共に司会者から発表される。



「結婚式でお馴染み、ファーストバイトで一番ドキドキさせられたカップルが勝ちとなります!」



ここでやっと気がついた。



今回のベストカップルコンテストのテーマは"結婚式"。



わたしたちを含め、ステージに上がっているみんなはドレスやスーツに身を包んでいる。


舞さんの力でわたしたちが一番本格的な衣装だけれど。


それはそうと……ファーストバイト。


ウェディングケーキを食べさせてあげるあの……あれを神風くんと?


チラッと神風くんを見てみると、不機嫌さは完全に隠しきれていないものの、ステージ上ではいつものキラキラとした笑顔。


どこまで徹底しているんだろうか、この人は。


そんなキラキラスマイルのせいで、この体育館にいるどれだけの女の子たちがノックアウトされていることか。






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