強引なキミに振り回された結果、恋に落ちてしまいました。
神風くんは彼氏なんかじゃありません
辺りは愉快な音楽が鳴り響き、人で溢れかえっている。
ジェットコースターからは「キャーっ」という悲鳴が聞こえる。
小さな子どもたちは着ぐるみが配っている風船が欲しいと群がっている。
そんな賑やかなここは、人気テーマパーク。
なんでこんなところにいるかって?
それは舞さんに懇願されたから。
時は遡り、昨日のベストカップルコンテスト終了後のこと────
「お疲れ様ーっ!」
無事にコンテストが終わりステージ裏に戻ると、そこで待機していた舞さんに拍手で出迎えられる。
見事わたしたちが優勝を勝ち取ったことで、舞さんは上機嫌。
この結果は舞さんの力と神風くんの力であって、わたしじゃない。
「……ったく、なんで俺がこんなこと」
「そんな文句言って、ノリノリだったじゃないっ」
舞さんに「ねっ」と同意を求められて、わたしは返事に困ってしまう。
ふと神風くんを見て、さっきの出来事を思い出してしまったから。
神風くんに舐められた口元がまだ熱を持っている。
「あら、顔赤くしちゃって…澪ちゃんたら本当に可愛いっ」
「これは違くて……っ!」
決してドキドキとかそんなものじゃなくて……
否定しようと思っても、わたしの心臓がまだ大きく波打っているのは事実。
恥ずかしくなって、顔を隠すように背けた。