強引なキミに振り回された結果、恋に落ちてしまいました。
「はい、これでいいんでしょ?」
舞さんにからかわれて動揺しているわたしを見かねて、神風くんは優勝者カップルに贈られる人気テーマパークのペアチケットを差し出した。
「あーっ、これこれ!ありがとう唯斗」
嬉しそうにニコニコする舞さんだけれど、神風くんの手の中にあるチケットを覗き見るだけで、受け取ろうとしない。
舞さんが欲しいと言っていたのに何故?
そんな疑問が頭に残る。
それは神風くんも同じだったみたいで、「早く取って」と急かした。
「ううん、これは唯斗と澪ちゃんの分!」
わたしと……神風くん?
ただでさえはてなマークが上がっていたのに、さらに大きくなる。
「……どういう意味だよ」
「じゃーんっ、実はもう自分たちの分はあるんだよね!…ってことで、明日はダブルデート!」
ひらりと2枚のチケットをわたしたちの前に広げて見せる舞さん。
……えーっと。
「えぇーっ!?」
「はぁ?」
わたしと神風くんの声が合わさって、大きな声が響きわたる。
「2人に拒否権はなーし!明日は9時に集合ね!」
さすが神風くんとの姉とだけあって、ちょっぴり強引なのは変わらない。
問題は数え切れないほどたくさんあるけれど、もちろん断れるはずがなく、約束を交わしてしまった。