強引なキミに振り回された結果、恋に落ちてしまいました。
「うぅ……」
キモチガワルイ。
激しく上下左右に揺らされて、コースを一周して乗り場に再び戻ってきた頃には白目を向いていて、放心状態。
やっとの思いでコースターから降ろしてもらって、近くのベンチに座ることができている。
「ごめんね、澪ちゃん……そんなにジェットコースターが苦手なの知らなくて」
わたしの背中を優しく擦りながら、申し訳なさそうに謝る舞さん。
気持ち悪すぎて声を出せないけれど、首を横に振ってそれに答える。
舞さんは本当に知らなかったんだから悪くない。
ちゃんと言い出さなかったわたしの責任。
こんなに心配させて迷惑をかけてしまって、謝らなければいけないのはわたしの方だ。
「ほら、水」
「ありがと……」
俯いていた顔を上げてみると、神風くんがペットボトルの水をわたしに差し出して立っていた。
お言葉に甘えて水を受け取り、ゴクリと一口飲む。
そういえばジェットコースターを降りてすぐ神風くんがいなくなっていたっけ。
見える範囲に自動販売機はなくて、多分わざわざ買いに行ってくれていたんだと思う。
性格は最悪だけど、たまにこうして優しくなる神風くんの心は全く読めない。