強引なキミに振り回された結果、恋に落ちてしまいました。



「ねぇ、七瀬澪って子いる?」



ほら、また来た。


お昼休みになるとこうして他クラスや他学年からも真相を聞き出しに来る人もいる。


何度も同じやり取りで、なんだか疲れてきた。



「ごめんなさい、ちょっと先生に呼ばれてるので……」



わたしは適当な嘘をついて教室を出た。


どっか空いている教室でお昼を食べよう。


ひとりで食べるお弁当なんて慣れてるし、寂しくなんかない。



「あ、忘れた……」



肝心なお弁当を机の上に忘れてきてしまった。


そんな大事なことを気がついたのは、教室を出てしばらくしてから。


まぁ、いっか。

1回食事を抜いたくらいじゃ問題ない。


午後の授業中にお腹が鳴ってしまわないかは、ちょっと不安だけれど。



行く宛てもなく適当に歩いてたどり着いたのは、学校祭の日に神風くんに腕を引かれて逃げてきた北階段。



「あれ、こんなドアあったっけ?」



その時は気が付かなかったけれど、そこにはひとつの古いドアがあった。


手をかけてみると鍵はかかっていないらしく、ガラガラっと大きな音を立てて開いた。




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