海先生のお悩み相談室
「えー! マジで⁉ あのうさぎメイドくんと⁉」

「うん。家族同士も仲いいらしくて、夏休みにみんなでキャンプに行ったって聞いた」



それと、クリスマスパーティーも黒瀬くん達とやるって言ってたもんな。

すると、



「家族同士……! それには敵わないよ……」



お、諦めてくれた。良かった。



「ドンマイ。まぁでも、友達にはなれそうだから話しておこうか?」

「いや、大丈夫……あのメイドくんに申し訳ないから……」



弱々しく返事をし、体育座りで膝に顔を埋めてしまった。

……ちょっとやりすぎたかな。



「いっそのこと、黒染めやめてみたら? 地毛が茶色なのは学校も知ってるんでしょ?」

「うん……でも余計怖がられそう」



中学生になるタイミングで髪を黒く染めた波瑠磨。

それまでは元気いっぱいだったのに、会う度に彼から笑顔が減って……見てるこっちも心を痛めたな。



「波瑠磨が小学生の頃……『顔は嫌いだけど、この髪色は大好きなんだ!』って、言ってたんだよ」

「そんなこと言ってたっけ……」

「あの頃はすごく生き生きしてた。でも今は……少し生きづらそうな顔してる」



そう言った途端、彼の目から涙がこぼれて、



「俺……これ以上自分を偽りたくない……」



涙が溢れ出した彼をそっと抱き寄せ、落ち着くまで背中をさすり続けた。
< 18 / 23 >

この作品をシェア

pagetop