【完】無気力ですが、ベタ惚れ彼氏の溺愛方法に困ってます
「だから困ってんだろ」
「やっぱり困らせ……」
「離れたのにもう会いたいとか──」
え?
ほんの一瞬、律くんの頬が赤く染まったような気がして。
だけど、すぐに表情を隠すみたいに私の肩にぽすっとおでこを乗せた。
「きゃっ……!? 律くん……っ、」
「顔見たくて仕方ないとか、雨降ってんのに誰かさんみたいに走り出したくなる衝動に駆られるとか」
矢坂以上に俺をヤバい奴にしたいの?と……絞り出すような声を落とした。
「あんな写真見たら我慢もキツいわけ。わかる?」
言いながら、律くんの腕は私の頭の後ろに回されて、硬直し続ける私の髪をくしゅくしゅと撫でた。