【完】無気力ですが、ベタ惚れ彼氏の溺愛方法に困ってます
ずいっと上げた眼鏡の奥の瞳は凍るほどに冷たい。
……だけど、
「教えてくれてありがとうございます!」
「ちょっ、芽衣っ! なぁにお礼なんて言ってんのよー!?」
「あのね、私に似合わないのは本当だと思うの……玲来ちゃんもそう思ったでしょ? でも私に気を遣ってくれたんだよね」
「ま、まぁ……芽衣が張り切ってるもんだからさ……っ」
「ありがとう玲来ちゃん」
会長様を見上げると、私を見つめたまま驚いている様子だった。
「会長様……?」
「……指摘をして礼を言われたのは、初めてだな」
ボソリと呟いた会長様は、静かに引き返し階段を登っていった。