【完】無気力ですが、ベタ惚れ彼氏の溺愛方法に困ってます
校舎を出た頃には、辺りはもう夜を迎えようとしていた。
久しぶりに律くんと手を繋いで歩く帰り道はひたすら幸せで。
「ピンクかな」
歩きながら、リップは何色がいいかと尋ねるとそう答えてくれた。
「じゃあ、ピンクにする! 赤は……やっぱり大人っぽすぎるし……でも諦めるのも嫌だし……」
「そのままの芽衣でいいって。諦めなよ」
「そ、そんなぁ!」
残念だけれど、子供っぽい私が頑張って背伸びしすぎるのはよくないよね。
律くんもピンクって言ってくれたし。
「もっと大人になったら俺が買ってあげる」
「えっ、律くんが……? いいの!? やったぁ……って……」
私はピタリとその場で足を止めた。