【完】無気力ですが、ベタ惚れ彼氏の溺愛方法に困ってます
「お母さんに話があるならもっかいちゃんと言いな!」
「は、はい! 今度の日曜日! 彼氏の家に! 行くことになりました!!」
自分は応援団だと暗示をかけてバカでかボイスで言い切った。
その達成感はまるで偉業を果たしたかのようだ。
クイズ番組を見ていたお父さんは暫し固まったあと、静かにビールの入ったグラスを置いた。
そして部屋の隅っこで体育座り……。
ずーんっと効果音でもつきそうな落ち込みようだった。
だけど今はお父さんを励ます余裕などない。
私の目の前には、ラスボスが立ちはだかっているのだ……。
「芽衣、あんたわかってんでしょうね?」
「は、はひ……」
こちらに向き直った母の圧に圧倒され、声が裏返る。