【完】無気力ですが、ベタ惚れ彼氏の溺愛方法に困ってます


「俺は一回見てるから言っておくけど、このあと結構やばいから」


「……うぇ!? ちょちょっ、ドアップはダメダメ!」


律くんの言った通りもうやばい。

目がない幽霊がこっちに走ってくる。

いくらなんでもこれは!

咄嗟に隠そうと手が顔へと伸びて……


「ハッ! 今のは、セーフだからね!?」


「ふーん? 次はどうかな」


次……?

主人公がその“何か”から狭い真っ暗な部屋に逃げ込んだ。

すぐに忍び寄る足音と息遣いに、私はゴクリと固唾を飲む。


「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁ……!!」


叫ぶ主人公と同じタイミングで私も雄叫びに近い声をあげてしまった。


も、もう……ダメかも……!


私は自分の負けを確信したその時。
< 163 / 391 >

この作品をシェア

pagetop